出たっきり邦人 1731 ガーデニング

 

      〓ローマの田舎町から〓

       ガーデニング

 

趣味のゴルフに関しては、すでに何度かお話しましたが、

ゴルフ以前の私の趣味はガーデニングでした。

子供の頃、田舎に住む機会が多かったので、

自然に親しんで育ったということがあるかもしれません。

また、両親も自然が好きで、毎週のように

日曜日には近隣の山間へ出かけたものでした。

夏には血圧が240にもあがった母、

もしももっと計れたら、もっと高い数値だったかもしれない、

血圧計が振り切れそうな症状でした。

それでも、郊外へ行くと元気が出るようで、

クーラーのない車に大きな氷柱を積んで、

真夏も出かけたものでした。

季節ごとに、たけのこ、ミョウガ、セリ、ゼンマイ、わらび

などなどを採りに行ったり、何もない季節でも、

ただお弁当を食べに山や川へ行ったものでした。

 

もう一人、大きな影響を与えてくれたのは、

宇治市の山奥に住んでいた頃の大家さんです。

小奇麗な、私から見れば随分とご年配の女性でしたが、

元気に畑仕事をなさっていたことを思えば、

もしかしたら今の私と同年代、

もしくはもう少しお若かったのかもしれません。

かなり大きな敷地に、沢山の花々、特にダリアが印象に残っています。

そして、トマトやきゅうりなどを植えておられて、

採りたてのトマトを、おやつに下さったものです。

あの採りたてのトマトの味や、

色様々な、姿や大きさもバラエティーに富んだダリア達、

特に気にはしていなかったつもりですが、

私の心の奥にずっと潜んでいたようです。

 

今の街に移り住んだ頃から、少しずつ鉢物を育てるようになりました。

南向きのベランダには所狭しと植木鉢が並び、

洗濯物は西側のベランダに干していて、

ご近所のおばあさんが、「洗濯物は南側に干すんだよ。」

と、道路越しに声をかけてくれることもありました。(笑)

 

そして、いまの大きな庭のある家に引っ越してきてからは

更に拍車がかかって、どんどんいろんなものを植え込みました。

ただ、花物がほとんどで、ここでも近隣の方々に

「畑をお作りなさい、花は食べられないのだから。」

と、よく言われたものです。

「チューリップも美味しんですよぉ。」

と言った私の冗談を、理解して頂けたかどうかはわかりませんが、

当初ガランとしていた庭が、そこそこ花で埋まっていきました。

引っ越して、3年目辺りからはバラに興味がわきはじめ、

2007年からはフランスの業者から苗を送ってもらうにいたり、

その数は、一時期 100種を超えたほどです。

ちょうどその頃、家の外周の修復工事が始まり、

それが半年以上も続いて、いつも家に人がいるものだから

自分の思うように動けないこともあって、

半ばうつ病になりました。

そうなると庭の管理も追いつかなくなり、

何しろ広いので、一度追いつかなくなると、

どんどん仕事はたまり、やがて姿を消すバラもでてきました。

バラは樹木ですから、一旦しっかりと根を下ろすと結構丈夫です。

そうしたしっかり組が、今も楽しませてくれていますが、

さて、きちんと数えたわけではありませんが、

今やその種類は半分以下になっていることでしょう。

 

かく言う私も花ばかりを作っていたわけではなく、

イチゴ、トマト、きゅうり、アスパラガス、じゃがいも、

ごぼう、菜種な、茄子、ペペロンチーノ(鷹の爪)、

小ぶりのピーマン、などを手がけたことがあります。

好きなことには結構ハマる方なので、

ネットを頼りに勉強して、畝を作り、勾配を設け、

水を、根元の方にだけ回るように工夫したりと、

夏は5時頃から起き出して、一日中庭仕事に明け暮れたものです。

まだ、幼かった息子は、

母親がまっくろけになっていつも外にいることが、

あまり好ましくなかったようなことを、後年語ったことがあります。

それまでは、家の中にいてPCと向かい合い、

ときには息子と、コンピューターゲームに興じていましたから。

 

アスパラガスはありがたい野菜です。

もう15年ほどにもなるでしょうか、

植えっぱなしで、毎年沢山収穫しています。

少し広い場所が必用ですが、時折忘れた頃に肥料をあげておけば

あとは全くの手間要らず。

収穫を忘れたものが今、きれいで繊細な植物として

庭の一隅を涼しげに飾ってくれています。

 

きゅうりは、こちらのお店で売っているのが大きすぎて

種が多くて身が絞まらず美味しくないので、

自分で作って早めに収穫しています。

ま、楽しめるのは、ほんの少しの期間ですが。

 

イチゴは、普通のイチゴから野いちごに変わりました。

小さな野いちごは鉢で栽培できて、とても美味しいのです。

でも、これも放任主義なので、毎朝水を撒く時に

できているのをその場でつまんでいただく程度しか採れませんが。

 

そうそう、バジリコ(バジルと日本では呼ぶのですよね)と、

プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を忘れていました。

どちらもイタリア料理には欠かせない香味野菜です。

ごく大雑把に言って、プレッツェーモロは魚系の料理に、

それ以外はバジリコ、という感じでしょうか。

もちろんこの他に、我が家には

ロズマリーノ(ローズマリー)、メンタ(ミント)、

オリガノ(オレガノ)、サルビアが常駐しています。^^

 

そうそう、10年ほど前まではぶどう畑があったのですよ。

なんと150本ものぶどうの木が植わっていて、

その手入れは、それはそれは大変でした。

剪定、伸びてきた枝の処理(必要に応じて何度も繰り返し)、

消毒、下草刈り、そして、収穫が大仕事。

お隣はワインをお作りになるので、

そちらに収穫したぶどうを提供するのですが、

大きなバケツに何杯ものぶどうを切り取り、運ぶのは

それは重労働でした。

一度、自分でぶどうを足で踏んづけて、

中世のようにワインを作ってみたことがあります。

でも、しっかりとワインにはならずに

ほぼ、ぶどうジュースのままでした。(笑)

あまりの仕事量に10年ほど前にすっかり取り払いましたが、

種のない、小ぶりですが、とっても甘いぶどうでした。

ほんの少し、残しておけばよかったかな。

 

興味の矛先がゴルフに向かってしまったので、

昔に比べたら、そんなに手入れはしていませんが、

彼らも生き物なので、朝晩の水やり

いたんだ葉っぱや枯れ枝の処理など、最低限の仕事は必用です。

 

ちょうど、4匹のメス猫たちと、

Rudyと言う名の、もうすぐ9歳になろうとするオス犬のために

食事を与え、順番になでなでするのと同じように。(笑)

 

イタリア人も、花壇や菜園づくりが大好きです。

SNS上では自慢の収穫物の写真が飛び交っています。

このあたりも日本人と似ていますよね。

 

 

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