出たっきり邦人 1689 小話

■□■□出たっきり邦人・欧州編・2020・01・07 1689■□■□■

      〓ローマの田舎町から〓

皆様、あけましておめでとうございます。

ここイタリアは、素晴らしい快晴で清々しい元旦を迎えることができました。

今年初めての配信を担当させていただくことになり、緊張しています。



どうぞ本年も「出たっきり邦人」欧州編はもとより

アジア編、中南米・アフリカ編、北米・オセアニア編

それぞれどうぞよろしくお願いいたします。



新年を明るい話題で開けたいと思い、今回はイタリアの笑い話をお届けすることにしました。





外国語で笑い話を理解するのはかなり難しいです。

イタリアに来て間もない頃、人が集まるとどこでもすぐに始まる「小話」には参りました。

みんなが一斉に笑っているのに、自分ひとりぽかんとしているのは居心地の悪いものです。

ひとしきり笑い話を笑った後で、ぽかんとしている私を見てはまたみなが大笑いというパターンでした。

  

でも、イタリア語が分かるにつれて、この小話が大好きになってきました。

たまにはシモネタもあり、人種差別や、ハンディを持つ方への強烈な内容などもありますが、往々にして、つみのない話が多いです。

ハンディを持つ人を特別視しないで、変に遠慮しないで笑い話にしてしまうのは

もしかしたら差別感のない証拠かもしれません。

カラビニエーリ(国家警察)たちは自分達で、カラビニエーリをばかにする小話を披露します。

 

ちょっぴり自虐的なところも日本人と似ているかもしれませんね。

 

ただ、言葉の問題だけではなく、この国の生活習慣や、

歴史的背景、宗教、あるいは今流行っていることなど・・・

が分かっていないと理解するのは大変です。

イタリア人の中にも、こういった小話についていけない人が大勢いるのですから。



それを日本の皆様に分かりやすく説明するのはほとんど無謀なことかもしれません。

でも、お伝えしたいのです。

少しでもお分かりになれば、さらにイタリア人への理解が深まることでしょう。

 

あまり解説してしまっても面白みにかけるので、

必要と思われるとき以外は解説を入れておりませんが、

もしもわからない時にはどうぞ掲示板やメールにて遠慮なくお尋ねください。



小話、ジョークのたぐいをイタリア語ではBarzellette(バルゼレッテ)

といいます。



では早速一つ。



憲兵 その1 

(注釈 : Carabinieri=憲兵はいつも2人で巡回します。)

>Carabinieri-1-「あれ、かわいそうに小鳥が死んでるよ。」

>Carabinieri-2-「どこに?」(と空を見上げる。)

(おわかりですね、死んだ小鳥が空に居るはずはないのですから)


続けてもうひとつ、ちょっと長いですよ。


憲兵 その2 

あるスキー場、今日は3人のカラビニエーリが冬のヴァカンスにきています。
ホテルの受付にて、

>Carabinieri-「去年もここにきたんだけど、とっても気に入ったのでまた来ました。
去年と同じ部屋なんかお願いできますでしょうか?」

>ホテルの受付「ちょっとお待ちください。同じ部屋があいているかどうか調べますから・・・ああ、大丈夫ですね、どうぞ。」

>Carabinieri-「ああ、良かった!で、去年のスキーの先生がとてもすばらしかったんで
またお願いしたいんですが。」

>ホテルの受付「誰だったか名前を覚えていらっしゃいますか?」

>Carabinieri-「ええ、確かハンツという方でした。」

>ホテルの受付「ハンツという名はここにはたくさんいましてね。何か特徴は・・・」

>Carabinieri-「金髪で、青い目をした・・・」


>ホテルの受付「ごらんください。ここじゃみんな金髪で青い目なんですよ。」

>Carabinieri-「うーん。そういえばタマタマが3つあるということです。」

>ホテルの受付-「えっ?!タマタマが3つですか?」

>Carabinieri-「ええ、いちどBAR(立ち飲み喫茶)に一緒に入ったときに、他の先生が彼に
-おい、例の3つのタマタマの調子はどうだい?-と聞いていたから。」

>ホテルの受付「・・・・」


もしかして少し説明が必要かもしれません。
イタリア語では男性のタマタマをcoglioneというのですが、小学館の伊日辞書にもあるように
「ばか」という意味によく使われます。


例によって3人のカラビニエーリをばか者扱いして、tre coglioni といったわけです。
ですから最後のホテルの受け付けのところは、わかりやすく言えば
「おまえさんがたのことをいってたんだよ、ばかだね。」ってとこですか。

イタリア人はかなりの紳士でも下ネタをさらっと明るく飛ばすので、 あまり深く考えないでください。
でも、正直訳すのがちょっと難しいです。(汗)



ではもう一つ。



一人のお年寄りが亡くなりました。

そして、天国に着きました。

そこで天国の門の鍵を預かるサン・ピエトロ(聖ペテロ)に出会います。

サン・ピエトロが質問をはじめます。

サン・ピエトロ>「どこからきたのか?」

老人>「覚えていません。」

サン・ピエトロはこの老人をイエス様の元へ連れて行き、直接尋問してもらいます。

イエス>「どこからきたのか?」

老人>「まったく覚えておりません。」

イエス<「名前はなんというのか?」

老人>「はじめの文字はGで、後は覚えておりません。」

イエス>「何を生業としていたのか?」

老人>「はいはい、これは覚えております!大工をしておりました。」

イエス>「大工?息子はいたか?」

老人>「はい、あ、いいえ。なんといいましょうか、実の息子ではないんですが・・・

     大変いとおしく思っておりました。」

イエス>「お父さん!」

老人>「ピノキオ!」

******************************************************

お分かりいただけたでしょうか?



まず、こちらの人々の考え方として、天国の門にはサン・ピエトロがいて、いくつか質問をし、善良な人とわかると天国に入れてもらえ、そうでないと地獄へ追いやられます。

また、余談ですが、天国と地獄の間に-Purgatorio-(煉獄)というところがあり、お裁きが下りるのを待つところです。

この小話では例外的にすぐにキリスト様のところへ連れて行きます。

さて、キリスト様のお父様、この地上で養育なさったお父様の名をご存知ですか?

Giuseppe> 大工のジュゼッペさんです。

今度はピノキオですが、ピノキオをよく知っていてもイタリアが誕生の地だとは知らない方も多いようですね。

このピノキオを作ったのが大工(厳密には指物師)の<Geppettoジェッペット。

仕事と名前の頭文字とが一致したので、こういう小話(お互いの思い違い)になったわけです。



今度はサッカー選手の話題です。

我が家はサッカーが嫌いなので、 (えっ、イタリア人にもサッカーの嫌いな人がいるの?)という声が聞こえてきそうですが、結構います。

サッカーという競技がどうこういうのではなく、 今時のサッカーのやり方や、特に観客の姿勢がサッカー離れを招いているようです。

うちでもワールドカップの時にはテレビ観戦したりするのですが、 普段の試合ではいつもけが人が出る始末、選手間でもちょっとぶつかっただけでけんかになるし、審判に食って掛かるし、見ていられません。

そんなに格闘したかったらボールなんかはじめっから使わずに即、 格闘技をすればいいじゃないかと思えるほどです。

でも今日ご紹介するのはこんなことではなく、 かつてのローマチームのエース<Totti>の楽しい一面です。

彼は真面目すぎるのか、ちょっとずれているのか、インタビューされたときに、
よくとんちんかんな答えをしたので、 だんだん笑いものにされるようになっていきました。
もちろん大物だからこそなんでしょうが・・・



大物と言えば、Tottiが、自分のことをからかっている話を本にまとめることを許可し、
しかもその売上金の半分をユニセフに寄付するという

すばらしいことをやってのけたので、私も出版された時に一冊買った次第です。

 

ではいくつかご紹介します。



Tottiが本を開け、

<<Sommario>> (目次) というのを読んで、

「Sono Mario.」(僕はマリオです。)と解釈し、

<<Piacere, so’ Francesco!>> 「始めまして、フランチェスコです!」

 

*イタリア語を勉強中の皆さんへ

「Sono Keiko.」で(私は恵子です。)ですが、話し言葉では正確にSonoといわずsonと詰まってしまうことがあります。
特にローマでこのような現象が見られます。

 


<インタヴュー>

「名前?」

ー「フランチェスコ。」

「苗字?」

ー「トッティ。」

「生まれは?」

ー「はい。(生まれました。)」


最後の「生まれは?」イタリア語では「Nato?」と聞き、 生まれた日付と場所を言うのが普通です。
それをTottiは、「生まれましたか?」と解釈したようです。
たとえば赤ちゃんの誕生を待っている人なんかには、

「生まれたの?」と聞くために「E’ nato?」といますが、
それも E’ をとってただ「Nato?」と聞く場合があるからです。

 

<Tottiの書斎>

新聞に痛ましい事件が載りました。
「2冊の本を所蔵するTottiの書斎が焼けてしまいました。」

Tottiはしょげ返って「アオ、(ローマ風の呼びかけ)
2冊目の本はまだ色を塗り終わっていなかったんだ!」

(影の声:2冊の本というのは塗り絵だったのね。)



 

<50%>

Tottiが友達に言います。

ー「キヨスクでとっても興味深い本を見つけたんだ。」

「へぇ、なんて題名?」

<<どうしたらあなたの抱える問題を50%削減できるか。>>

「へぇ、で買ったの?」

ー「うん、2冊買っといた。」

(1冊で50%削減ということは2冊買えば100%問題がなくなる?)

 

<パズル>

Tottiがパズルを仕上げようとがんばっています。
およそ4ヶ月ほどかかりました。

そして箱を見ると<Dai due ai tre anni>と書いてあるのをみて
「アオ!俺って天才ということか?」

注:Dai due ai tre anniというのは2歳から3歳用と言う意味です。
イタリア語では年齢を尋ねるのにも何年?とききます。
そこでTottiは普通このパズルを仕上げるのに
2,3年はかかる、と解釈したのでした。



<パズル2>

Tottiが婚約者に電話をして、

「パズルをしてるんだけどぜんぜんうまくいかないんだ。 みん同じような形でさ・・・ウッファ!(ふてくされた様子)」

婚約者は彼のつまらなさそうな顔を思い浮かべながら、

「ねぇ、モデルはあるの? どんな感じ?そのパズル」

「うーんと、箱には鶏が、大きな赤い鶏が…うーんできない!」

そこで彼女はやさしく

「OK、アモーレ(愛しい人をこう呼びます。親子間でも。) 気にしないで。今夜一緒にやってみようね!」

その夜Tottiの内で、 彼女は彼の顔を眺め次に箱を見て、すべてを理解しました。

「アモーレ、今はコーンフレークスをみんな箱に戻して、 もう考えないようにしようね。」





いかがでしたか?イタリアの笑い話、小話。

もしも楽しんで頂けたようなら、またの機会にもっとご紹介しましょう。

初笑いして頂けたなら幸いです。



令和2年、災害の少ない楽しいニュースが聞ける年になりますように。





Keiko

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◆次回の配信は1月10日(金)スイス・チューリヒのきいろさんです◆

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