出たっきり邦人 1798 自動車学校

        自動車学校

ニュースなどでご存知だと思いますが、
イタリアでもグリーンパスが導入されました。

今のところ、公共の交通機関の利用と、
レストランの店内での飲食が規制されていますが、
9月からは更に厳しくなるということです。

私個人としては、
まず公共の交通機関を利用することはないし、
レストランで食べたい!という気持ちも、
すでに何年も前から失せてしまっています。

ですから、今のところ特に変化はありませんし、
窮屈な思いをしているわけでもありません。
粛々とこの闇を抜けることを願っているだけです。






さて、今日は古い話ですが、私がこちらで
運転免許を取ったときのことをお話しましょう。

日本では運転免許を持っておりませんでした。

成人してからは、大阪と東京に住んでいたので、
まったくその必要性がなかったからです。



もし日本の運転免許を持っていれば、
書類の書き換えだけで取れたそうなんですが、
持っていないものは仕方ありません。

そこで一からこちらの方達に混じって
学校へ行きました。

日本では行ったことはありませんでしたが、
自動車教習所というものが、どういう感じかは
知っていたつもりです。

コンクリートの建物の横に模擬コースがあって
信号や横断歩道があって・・・

こちらにはそういう学校はありません。

Autoscuola(アウト・スクオーラ)まさしく
自動車学校と書いてはありますが、
ビルの中の一室だったり、食料品屋さんの
隣の小さなテナントだったり・・・

よーく見ないとわからないくらい小さくて、普通です。

とにかく模擬コースがないんですから。



さて、学校に身分証明書などの書類を提出し、
3回ほど道基法などを勉強すると
ピンクの仮免をくれます。

その色のとおり Foiglia Rosa 
(フォーリア・ローザ=ピンクの紙)といい、
これがあれば運転暦10年以上の人が横に乗っていれば、
普通に運転していいんです!

大体私のように何も知らないで学校へ行く人は珍しく、
ほとんどの人は家族や友人から大きな駐車場や、
カラカラ浴場前の広場などで運転を教わってから、
すでに自動車を動かせるようになってから
学校へ来るのです。

法規と構造の勉強の為だけに。

つまり実習は即!路上です。(恐)

怖がりの私は実習を30回くらいとったので、
日本で免許を取るくらいの料金を払いましたが、
試験を受けるためだけに来るような人たちは、
わずか2,3万円くらいですんでしまうようです。

このときに私のイタリア語のレベルが上がったと、
夫は今もいっています。

つまり、一生懸命勉強しました。
教本の中には、普段使わない言葉が溢れていますからね。

でも、
<信号が黄色のときに交差点を渡ってしまえ!>
と回答したのが間違いで一度落とされました。(汗)

外国人には、辞書の持込が許されているし、試験中も、
「もし内容がわからなければ質問しなさい。」と、
とても親切だったのを覚えています。

こちらでも、ローマやミラノのような都会に住んでいる限り
免許がなくてもあまり困りませんが、
ちょうどその頃、
田舎へ引っ越そうという話が持ち上がっていて、
こちらの田舎はたいてい山のてっぺんに町があるので、
車がないと身動きできません。

鉄道は山のふもとまで、
そこからはいつ来るともわからないバスを待つしかないのです。

タクシーのある駅はよほど大きな町か、観光地のみです。



自動車学校へ通い始めて程なく妊娠したことがわかり、
なおさら免許が必要になりました。

こちらでは、親が子供を学校へ車で送っていくのです。

もちろん徒歩圏にいる子は違いますが、
少し離れると防犯上、
又、車の運転も荒っぽいので安全上、
たいていお母さん方が、朝送っていきます。

そして当然ながら、学校がひける午後1時ごろ、又迎えに行くのです。

ですから、妊娠したとわかった時
どうしてもとらなければ!となったのです。



今となっては、運転免許を取ったことが私の人生で、
最も素晴らしいことのひとつといえそうです。

自由にどこへでもいける!素晴らしいことです。

だいたい私と同年齢か、
私よりも若い年代の女性達は、
ほとんどが運転できるようですが、
少し年配の女性たちは、ご主人の帰りを待って
スーパーなどに連れて行ってもらっていました。

大昔は、買い物は近所のお店や、朝市で済ませるので、
逆にそんな不自由さはなかったのかもしれません。


とにかく、実用以外にも、車は必用です。

我が家の近辺には、四季折々に
美しさを満喫できる山道があります。

又、夏は学校が終わってからでも海へ出かけます。

曲がりくねった山道で、
タイミングよくギヤーが入ったときには言い知れぬ満足感が・・・

おっと、話がそれてきました。ではまた。



2021年8月31日  Keiko (ローマ)