出たっきり邦人 1786 道路と車

        〓ローマの田舎町から〓

         イタリアの道路事情

「すべての道はローマに通じる」というあまりにも有名な言葉がありますね。

これは現代のイタリア人たちもよく使う言葉です。

とりわけ、道に迷ってしまったときに特にローマに住む人間は、

この言葉で、自分自身と周りを安心させ、プラス思考に移るのです。(笑)

紀元前4世紀に当時の元老院議員のアッピオ・クラウディオ

(アピウス・クラウディウス)の命に寄って大掛かりな道路の建設が始まり、

その彼の名から今でもアッピア街道と呼ばれている、

ローマから南へ伸びる街道があるのですが、その街道を皮切りに、

つぎつぎと大きな街道がローマから放射状にイタリア中に張り巡らされ、

その多くを今でも使っているので、ただの言葉上だけのことではなく、

主要な道路を伝っていけば、ほぼほぼローマにたどり着くのです。

ご興味があれば、また

ローマ時代に作られた街道の話を、もう少し詳しく話しても面白いかと思いますが、

今日は、今の我々の日常の話につなげたいのでこのくらいにしておきます。

そうそう、一言だけ追加するとすれば、

その当時の道路は、主に軍用道路、産業道路として作られており、

道路幅は大きな荷馬車がゆうゆうと通れるもので、

両脇には人が通る一段高くなった所、すなわち歩道が設けられ、

道路はすべて玄武岩様の石で舗装されており、

所々には荷馬車の車軸の幅に応じた飛び石があって、

人はそこを渡ったということで、横断歩道と言っていいかと思います。

詰まり、もしも信号機があったとすれば、今の道路と全く遜色がなかったわけですね。

更に、街道の両脇には傘のような形をした松の木が植わっており、

戦地に赴く兵士たちを強い日差しから守ったということです。

ということで、2千数百年前からしばらくは、世界で最も道路事情の良かったイタリアも、

今では決してそうとは言えません。

イタリアにいらしたことがある方はお気づきになったと思いますが、

イタリアの古い街は、殆どが山のてっぺんに位置します。

我が家は平野に位置しているように思いますが、それでも標高200mくらい、

以前住んでいた町は標高680m

スキー場へ向かうときに通過する町々は、千数百メートルもの高度に位置するのです。

そんな環境なので、まず鉄道は主たる町の中心部には行きません。

例えば、我が家から車で5分ほどのところにAnagni-Fiuggiという国鉄の駅があります。

はい、こちらは今でも国鉄です。(笑)

私鉄はごく僅かの特急路線以外は無いようです。

その駅で降りて、Anagniという町へ行こうとすれば約10km

山道を上っていくので、車で10分以上、

Fiuggiという町へは25km, スーパーストラーダという

結構快適な道路が通ってはいますが、25分はかかります。

詰まり、日本のようにどんな町でもそこにつけばその町の中にいるという状態ではないのです。

駅の前には、何もありません。

ここでは小さな田舎町の話をしています。

ローマやミラノのような大都会の話ではありませんよ。

でも、何度かイタリアに訪れた方は、

ローマ、フィレンツェ、ナポリ、ヴェネツィアを見てしまったので、

どこか人しれぬ小さな町に行ってみたい、

そして、そんな町を紹介するテレビ番組などがあるのですよね、日本には。

でも、そういう小さな町へ行くには、日数に余裕を持たせて

下調べを十分にして、少しお金をかけても便利で、

確実に行き着ける算段をつけておかないと、地図を便りに鉄道に乗って

確かに駅名はあっているけれど、日曜日だったり夜遅くなると、

人っ子一人見かけないということになりかねないのです。

タクシーを拾う?

夢のまた夢ですね。

平日の朝夕にはバスが何本か駅と町とを繋いでいますが、

昼間の数時間、夜も最終バスは、9時台でおしまいではないでしょうか。

と、ここまで話してきたのは

いかにイタリアの地方都市での生活に、車が欠かせないかと言いたかったのです。(笑)

以前、これまで乗ってきた車の話などしたかと思いますが、

今回は、いつかイタリアの田舎町に来たいとお思いの方にも役立つかと思い

また話題にさせていただきました。

日本では東京や大阪の都会に住んでいたためかもしれませんが、

免許を持たずに平気で暮らしていたのに、とおかしく思うことがあります。

また、イタリアの殆どの地域で、

1115日から415日までは冬用タイヤをはいていないと

取締に引っかかると罰金を取られることになっています。

罰金だけでなく、その先目的地へ行かしてくれません。

冬場にローマから高速でやってきたとして、

うちの近くの出口で降りて、そこで取締に引っかかると

また追い返されてしまうのです。

車にチェーンを積んでいれば別ですが。

もちろんそれは、道路事情によるので、

毎日そのための取締をしているわけではありません。

ただ、他のことで取締に引っかかった場合、

その期間中なら、おまけの罰金がついてくるということになるのです。

ということで、年に2回のタイヤの履き替え、

年に1回のタリアンドという、いわゆる整備

フィルター類をすべて取り替えたり、具合の悪いところを修理したり、

以前、車検は1万円以内と紹介しましたが、

こうして、毎年整備するたびに、私の車のような

ごく普通の車で特に修理をしなくてもも34万円ほどが消えていきますから

車には結構な費用がかかってしまいます。

ガソリン代だって、最近また高くなってきて

私の車はディーゼル車ですが、1L 1.5ユーロほど

ガソリン車では、1L 1.8ユーロほど(どちらも安いところで)だと思います。

でも、なくては生きていけないのです。