トラットリーア サラチェーナ
Segni(セーニ)の街にある古い門、サラセン人が入ってきたというのでサラセン人の門という意味の名が付いたPorta Saracenaの近くにあるトラットリーアです。
Segniに移り住んだのが1991年で、その頃から知っているので27年来の付き合いとなりますが、途中持ち主が変わったので間がかなり抜けています。
息子が生まれてローマのクリニックを退院して我が家に帰る前に立ち寄ったのもここでした。
出産のために12月26日から1月3日まで入院していたので家にはなにもないことが分かっていたしお腹が空いていた私達は眠っているYoskeを乳母車に乗せて連れていったので、彼にとっては人生で初めて出会ったトラットリーアです。(笑)
あの頃は今のおかみさんのStefaniaがまだ若くて、ご両親と一緒に営んでいました。
お父さんが裏の畑で作っている野菜がサラダとして出てきてそれはそれは新鮮で美味しかったものです。
Stefaniaも創作意欲の強い人で面白い料理をいろいろと食べさせてくれました。
おかあさんはいかにもひとの良さそうな親切な方で、いつも安堵感を与えてくれました。
当時はトラットリーアではなく、Osteriaオステリーアでした。
オステリーアというのは歴史的には旅人が足を休める、泊まる、あるいは近所の住人が食べ物を持ち寄って、オステリーアは飲み物(当然ワイン)とそれらを楽しむ場所を提供するというものでした。
ローマには高級レストランにオステリーアの名が残っているところもあります。
つまり当時のSaracenaは食事時間以外にも店を開放していて近所の年配の男性たちが集まり、ワイングラスを傾けながら日がなおしゃべりをしたりカード遊びをしていたものです。
私は時々テーブルワインを買いに行ったこともあります。
そのうち我が家は裾野の家に引っ越し、Stefaniaも二人の女児をもうけ子育てのためにトラットリーアから手をひきました。
別のひとが経営する新設なったレストランに一度行ってみたことがありましたが、そのあまりの違いに戸惑いました。
レストランと言ったようにかつての家族的なトラットリーアの雰囲気がなくなりテーブルが増えて店内の装飾もうんと増えてちょっと息苦しい雰囲気でした。
料理はまずくないし、高級感を出そうとする意欲もわかるのですが、いささか場違いという感じでした。
以来、そこへ行くことなく何年もの月日が流れました。
今年2月13日の火曜日に突然Paoloが「Saracenaへ食べに行こう」と言うので「良いけど、なぜSaracenaなの?」と聞いたら「StefaniaがFacebookでコンタクトをとってきて彼女が戻ったそうなんだ。」
「ならぜひ行きましょう!」となったのでした。
店内に入ってホッとしたのは昔の雰囲気に戻っていたからです。嬉しかった。田舎の家に帰ったような気分でした。
残念ながらご両親はすでに亡くなって、二人のお嬢さんたちが手伝っておられました。台所から今にもおかあさんが顔を覗かせそうで涙が止まりませんでした。
さて、料理の方はパスタは写真を撮り忘れましたがイノシシのラグーでとっても美味しかった。一人前をPaoloと二人でシェアしました。

溶かしたチーズ、パンをつけていただきましたがすぐに冷めてしまって固まってしまいました。

ブロッコレッティ、(色んな種類がありますが主に菜種菜、カブの葉)
ミックスグリル、羊肉の串焼きとサルシッチャ(腸詰め)豚肉
豚肉は硬くて脂身や筋が多かったのでRudyにお持ち帰り。^^;
ズッパイングレーぜ
パンナコッタ
以上のドルチェで締めくくりました。
後で気がついたのですが、2月14日は聖ヴァレンタインデー
その日はどこのレストランも予約でいっぱい。だから一日早く外食に誘ってくれたというわけです。
はい、ごちそうさまでした。(笑)